北海道の植物 青汁畑
地上のサイリウム、ルピナス
「北海道で”映えて”いる植物」日本には6000種類を越える植物があるとされますが、その中で北海道の植物が占める割合はなんと脅威の6分の1相当の1100種類以上。そこで今回は北海道にしかない固有種を紹介、するのも良いのですが、やはり北海道の魅力とセットでお伝えすべきと思い、他県にも”生えて”いるけど北海道ではもっと”映えて”いる、という植物をご紹介することにいたします。
まず最初にご紹介したい北海道の植物は、小粋な響きの名前と特徴的な見た目のルピナスです。カラフルな色彩と縦長の形状は、ライブなどに用いられるカラフルバーのサイリウムに似ていて、美瑛町の四季彩の丘に広がる一面のルピナスが風に揺れる様は完全にノリノリでサイリウムを振る観客に見えます。青森県や兵庫県などでも畑一つ埋め尽くすほどのルピナスが咲いている土地もあるようですが、四季彩の丘ほどのルピナス畑は北海道でしか見られません。本当に全部同じ種類の花なのかと思ってしまうほど1つの場所で1つの花が違う色を見せる。まさに北海道だけで多種多様な楽しみができるという魅力をそのまま体現しているかのような北海道の植物です。
ラベンダーが醸し出す香りと情緒と精油
北海道の植物の中で最もポピュラーなのは、やはりラベンダーでしょう。もはや多くを語るまでもないとは思いますが、慎ましくも美しい紫色の花に、嗅ぐたびに体内を浄化されているのかと思うほど心安らぐ香りを持つラベンダーは、1980年代に放送された『北の国から』や『時をかける少女』などの映像作品によって全国区の知名度を獲得しました。以降、主な生産地である富良野のラベンダーは、北海道の夏の観光名所の第一戦を張り続けています。
富士河口のラベンダーも有名ですが、富良野のラベンダー畑ほど郷愁を誘われるラベンダーの名所は他にないと断言できます。一度でも富良野のラベンダー畑を生で見れば、伊達に日本で最もラベンダーの栽培に適した地とされているわけではないことが分かるはずです。
チングルマ
大雪山連峰に咲く一風変わった名前の高山植物のチングルマ。変わった名前をしている反面見た目はシンプルで、5枚の白い花弁に無数の黄色い雄しべと雌しべが生えています。大雪山の旭岳には数百メートルに渡る日本最大のチングルマ野原があり、薄く霧がかかる気象条件であれば、歩いても歩いても薄霧と白いチングルマが途切れない幻想的な空間が続き、まるで天国を歩いているような気分になれます。チングルマ自体は北日本から中部まで広く分布しているため北海道だけの植物ではありませんが、秘境に咲く花という意味では、長年日本の秘境であり続けている北の大地を象徴する北海道の植物だといえます。
観光用として手入れされている他の多くの北海道の植物と違い、こうした高山植物は自由に、かつ人間が美しいと褒めそやす以前から悠然とそこに咲いているのが魅力的ですよね。これぞ本物の高嶺の花。
東京のイチョウ、広島のもみじ、山形のさくらんぼのように、その土地を代表する木が存在します。札幌市のシンボルツリーであるライラックの木は、時計台の前やテレビ塔がある大通り公園にも生えており、札幌の象徴である建物とセットで見ることができる身近な北海道の植物です。
紫色の花が筒状に集まっているライラックは、外国の花っぽくもありながら、アジサイを縦長にしたような形状にも見えるため、眺めていると異国情緒と和の心の両方を感じることができます。大通り公園と川下公園では毎年5月中旬と6月上旬にライラックまつりが開かれ、北海道では列車や船舶の名前にも利用されているなどポピュラーな。ライラックもラベンダーと同様、現在生えているものはヨーロッパやカナダなどから接ぎ木したもので、日本の固有種のライラックはハシドイと呼ばれる種類になります。
道東のオホーツク地方の位置する網走市能取湖の湖畔に広がる一面の赤。9月下旬の短い時期にしか見られない紅葉湖は、サンゴ草という北海道の植物の群生がもたらしています。サンゴ草というのは紅葉時に紅紫色へと変化することからついたあだ名で、本来は日本で最初に見つかった場所が厚岸町厚岸湖であったことからアッケシソウと命名されています。
紅葉といえば木の上にあるものと決めつけ、地面に広がる紅葉は落ち葉以外にないと高を括っていた私の狭量な考えをいとも簡単に打ち砕きました。
また紅葉前の緑色のサンゴ草は野菜としても流通しているようで、鑑賞と食用を兼ねている植物はアスパラガスとトウガラシ、あとは青汁畑の成分の一つであるキダチアロエくらいのもの、と決めつけていた私の想像はまたも打ち砕かれました。植物に2度も驚かされたのは人生初。こんな芸当ができるのも北海道の植物たる所以なのでしょう。
また紅葉前の緑色のサンゴ草は野菜としても流通しているようで、鑑賞と食用を兼ねている植物はアスパラガスとトウガラシ、あとは青汁畑の成分の一つであるキダチアロエくらいのもの、と決めつけていた私の想像はまたも打ち砕かれました。植物に2度も驚かされたのは人生初。こんな芸当ができるのも北海道の植物たる所以なのでしょう。
北海道の植物は何も花を咲かせるものばかりではありません。厳しい冬を身一つで乗り越える高木のエゾマツも立派な北海道の植物です。
トドマツと対を成す北海道の木で、道南以外の北海道全域に広く生えています。木材として優秀なことで知られ、道外でも一般住宅に多く用いられ、楽器の響板から駅弁の弁当箱まで幅広く利用されています。また環境によって形状が変わるマツの仲間ということで、盆栽にも多く利用されるなど、鑑賞用としての実力も折り紙付き。
一方、花粉症を誘発する北海道の植物の代表格でもあり、本州以南で多くの人を花粉症で苦しめているスギが生えていない北海道の中で、最大敵視されている植物でもあります。ただ、エゾマツは防風林や公園樹として植えられる以外に人工造林がほぼ行われておらず、現在の蓄積量だけでやりくりされているので、例え花粉症が苦しくとも、あまりエゾマツのことは責めないであげてください。
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